<丸作製麺へのコンサル-1>4P分析・3C分析・経営資源分析

(これは架空のうどん屋さんからの経営コンサルティング依頼のお話です。)



「梅ぼーさん、経営コンサルティングをお願いします!」とお話をいただきました。

 今度初めて会う方です。名前は「丸作製麺」でうどん屋さん。まずはインターネット情報を確認することにしました。

(全くの架空であると、コンサルティングがしにくいので、少し土地勘があるエリア、地域で有名な学校がある場所に「うどん店」があると仮定させていただきます。フィクションですのでご了承願います。)

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片側2車線ずつの大きな道路に面したうどん店です。目の前には神社の森がありますね。

フリー素材サイトから画像をお借りしました。店舗外観は、日本家屋風の2F建て建物とします。

ネット検索しましたが、「丸作製麺」は自社のホームページを持っていないようです。

「食べログ」「ぐるなび」に、丸作製麺が載っていました。しかし、簡単な写真と口コミしか見当たりません。悪い口コミはないようです。

約束の当日になりました。ZOOMを使ったオンライン面談で初顔合わせです。

 「はじめまして!よろしくお願いいたします!」

お互い元気に挨拶をかわします。店長は「渡辺(わたなべ)」さん。男性で55歳だそうです。


 「さっそくですが、お店の状況について教えてください。」

私から質問する形で、話をすすめていくことにしました。

 このような時、私は以下のフレームワークに沿ってお尋ねすることにしています。

  • 「4P分析」
  • 「3C分析」
  • 「経営資源分析(人・モノ・カネ・情報)」

「フレームワーク」とは、物事を考えるにあたっての枠組みです。

フレームワークに沿って考えると、モレやダブりを防ぎ、効率よく物事を整理することができます。

まずは4Pについて尋ねました。

4P分析   質問内容 回答
Product 製品 提供してるものはどのようなモノ・サービスであるか? ・一般的な讃岐うどん
・こだわりの国産小麦粉100%使用
Price 価格 その価格は? ・かけうどん580円
・ランチセット(丼もの+小うどん)800円
Place 立地・流通 お店の立地は?・どのように顧客に届けているか? ・宇都宮駅と宇都宮市内西部地域をつなぐ主要道(片側2車線)沿いに立地
・店内での提供のほかテイクアウトも実施している
Promotion 宣伝・販売促進 どのように広告・宣伝・販売促進しているか? ・自社のホームページはない
・無料の範囲で「食べログ」「ぐるなび」を利用している
・たまに地域のフリーペーパーに掲載をしている



次は3Cです。

3C分析   質問 回答
Customer 顧客 顧客はどのような人か?
顧客はどのようなニーズを持っているか?
・平日は勤務者などの一人客、週末は家族連れが中心
・あまり時間とお金をかけずにあっさりと食事を済ませたい人が多いと思う
Competitor 競合 ライバル店はどこか?
ライバル店の強みは何か?
・近隣にライバルのうどん店はない
・手軽さでいうと、牛丼・ハンバーガーなどのチェーン店、コンビニがライバルと言える
Company 自社 (上記の顧客・競合を踏まえて)
自社の強みは何か?
顧客に喜ばれているところは何か?
・片側2車線の広い道路に面しており、駐車場も広い(12台)ので車で来店しやすい
・ボリュームがあって値段がリーズナブルな割に美味しいと言ってもらえている



最後は経営資源について。

経営資源 質問 回答
ヒト スタッフ構成は?
家族構成は?
・渡辺氏が調理、妻が調理補助兼フロアーを担当。来客が多いため、週末のみのアルバイトスタッフ1名を雇用。
・渡辺氏(55歳)、妻(52歳)・長女(21歳 大学3年生)・長男(17歳 高校2年生)
モノ 店舗の状況は?
どのような設備があるか?
・土地建物は賃借(家賃月180千円) 1F店舗・2F自宅
・カウンター6席 4人テーブル×6 小あがり座敷6人卓×2
・駐車場スペースは12台分あり(周囲に比べれば広い駐車場を有する)
カネ 手元資金の状況は?
借入の状況は?
さらなる資金調達は可能か?
・手元の預金、現金は1,000千円程あり。
・地元の信用金庫(みや信用金庫)より借入(残高12,000千円 月返済150千円)あり。
・最近、みや信用金庫に借入の相談に行ったが、「現状では新規融資は難しい。」と言われたと。
情報 固定客リストはあるか?
顧客のニーズを把握する仕組みはあるか?
経営の状況を管理できているか?
・固定客リストはない(DMなどを送ることはできない)。
・顧客にアンケートなどはとったことがない。
・個人事業であり、毎年3月の確定申告時期前に帳簿整理をしている。
・売上はノートに記入し日々把握しているが、仕入れや経費は整理ができていない。

限られた時間であります。もっと細かく伺うこともできるかもしれませんが、ひととおり「丸作製麺」について把握することができました。


以上では、コンサルタント側の目線でフレームワークの使い方を説明しました。

もちろん、経営者(自営業者)側でも、このフレームワークは非常に有効です。

金融機関に融資の申し込みをするときに、自社を説明するための資料を作ってみてください。

自分で自社を「4P分析」「3C分析」「経営資源分析」してみましょう。

写真をふんだんに使って資料を作るとさらにイイですね。

既に取引がある金融機関でも、自社について正確に把握してくれているとは限りません。

また、借入に際して多くの場合は信用保証協会を利用すると思います。

信用保証協会の担当者は、書類上で審査をします。

自社説明資料があれば、自社について審査担当者にしっかりと理解してもらえます。

また、経営者としての資質も評価してもらえると思います。

なぜなら、そのような自社説明資料を作る会社は、まず少ないですから。

いずれにしても、融資可能性を高めることができると思います。

また、SWOT(スウォット)分析を行うときの準備段階としても、「4P分析」「3C分析」「経営資源分析」は便利です。

SWOT分析: 自社の現状と今後の戦略を分析するフレームワーク

SWOT分析については、またの機会に説明できればと思います。

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