(仮想顧客(丸作製麺)に対するコンサルティングです)
借入分について「リスケ」を実施したことにより、まずは止血(資金の流出を減らす)ができました。
そして、経費・支出の把握(見える化)にも取り組み始めました。
これにより、経営改善に取りかかる土台ができたと思います。
さて、経営改善の方向性を検討するにあたり、SWOT分析を行いたいと思います。
SWOT分析とは、内部環境(自社の強み(S)、弱み(W))、外部環境(機会(O)、脅威(T))を整理し、自社の課題を把握するフレームワークです。
そして、クロスSWOT分析とは、「強み×機会」、「強み×脅威」、「弱み×機会」、「弱み×脅威」と組み合わせ、今後とるべき戦略を練るフレームワークです。
いきなり、「SWOT分析」にとりかかっても良いのですが。
分析に必要な材料をそろえてからの方がやりやすいと思います。
ここでは、PEST分析→5F分析→SWOT分析の流れとしたいと思います。
まず、外部環境を分析するにあたり「PEST分析」を行うことにします。
PEST分析は、マクロの外部環境を分析するフレームワークです。
PEST分析
P | 政治的要因 | 法規制、規制緩和、増税、補助金、 外交、政権交代 | テイクアウト・宅配は軽減税率8% |
E | 経済的要因 | 景気、物価、個人消費、雇用、株価、 経済成長率、為替 | 物価高騰 個人消費の落ち込み |
S | 社会的要因 | 少子高齢化、ライフスタイル、流行、 社会問題、健康、世論、教育、宗教 | 高齢者の増加 健康志向の増加 |
T | 技術的要因 | IT、AI、イノベーション、インフラ、 代替技術、特許 | IT技術の普及 |
丸作製麺はうどん店(飲食業)です。
特殊な業界ではないので、PEST分析では特に気になるところはありませんね。
これが特殊な業界だと、法規制、為替、イノベーションなどの検討が重要となります。
(例えば医療業、中古車輸出業、タクシー業、太陽光発電関連など。)
次は5フォース分析です。ミクロの外部環境を分析するフレームワークです。
ファイブフォース分析
<新規参入の脅威> 新規うどん店進出の可能性 参入障壁は低い | ||
<売り手(供給業者)の交渉力> 国産小麦粉の仕入先は1社で 仕入価格は先方の言い値 | <業界内の競合> 近隣にうどん店はない | <買い手の交渉力> 消費者側の選択の幅は大きい 価格に敏感である |
<代替品の脅威> 手軽な商品がライバル コンビニ ファストフード 冷凍食品 |
5F分析でのポイントは以下ですね。
・消費者側の選択の幅は大きい。
・うどん店というよりは、手軽な商品(コンビニ、ファストフード、冷凍食品)がライバルである。
以上の外部環境分析を基に、
順番1 SWOT分析における外部環境分析
順番2 SWOT分析における内部環境分析
の順番で整理します。
この順番には意味があります。
外部環境は、基本的に受け入れざるを得ないものであります。
外部環境を前提に、それに対応する形で内部環境が決まってくるからです。
内部環境分析にあたっては、以前に実施した、4P分析、3C分析、経営資源分析を材料にしたいと思います。
また、当HPで主軸としている「自社の見える化」「売上は方程式」「借入力の強化」の視点も入れていくことにします。
SWOT分析
内部環境 | <強み>Strengths (自社の強みは何か) ・こだわりの国産小麦粉100%使用 ・コスパの良い店として認知 ・長女(21歳 大学3年生) 、長男(17歳 高校2年生)あり ・広い駐車場(12台スペース) ・主要道(片側2車線)沿いに立地 ・テイクアウトはすでに実施 | <弱み>Weaknesses (自社の弱みは何か) ・経営管理の見える化が不十分 ・集客力が弱い(HPなし、SNS未活用) ・手元資金が少ない ・金融機関からの資金調達力が弱い ・固定客リストはない ・顧客のニーズ把握が不十分 ・仕入価格に削減の余地あり ・教育費負担が大きい |
外部環境 | <機会>Opportunities (自社に有利な状況は何か) ・テイクアウト需要が増加している ・ウーバーイーツが普及しつつある ・健康志向の消費者が増えている ・近隣にうどん店はない ・ITの活用がしやすくなっている ・高齢者の割合が増加している ・SNS等の口コミ評価が影響大 | <脅威>Threats (自社に不利な状況は何か) ・物価高騰 ・個人消費の落ち込み ・コンビニ、ファストフード等がライバル ・近隣にうどん店出店の可能性あり ・コロナ禍等で外食習慣が減少 ・若者の割合が減少している ・SNS等の口コミ評価が影響大 |
次にクロスSWOT分析を行います。
これについては、頭をしぼり出して時間をかけて考えました。
いろいろな観点から検討したつもりです。
クロスSWOT分析
<強み>Strengths | <弱み>Weaknesses | |
<機会> Opportunities | 強み×機会 (強みを生かして機会をつかむ) 「積極戦略」 ・安全、健康を大きく打ち出す ・好立地・コスパで遠方客確保 ・娘等によるSNS運用のサポート ・テイクアウト予約アプリの導入 ・ドライブスルーの実施 ・高齢者向けサービスの検討 | 弱み×機会 (機会を逃さないよう弱みを改善) 「改善戦略」 ・HP、SNS、アプリの環境整備 ・広告宣伝活動の改善強化 ・LINE活用等で固定客化 ・新たな取引金融機関の確保 ・サブスクの導入 ・アンケート等でニーズの把握 ・奨学金の利用 |
<脅威> Threats | 強み×脅威 (強みを生かして脅威を抑える) 「差別化戦略」 ・特長のあるメニューの開発 ・コンビニ等との差別化 ・中食ニーズへの対応 ・うどん自販機の設置 ・二毛作ビジネス(昼夜別業態) ・好立地武器に他社との提携 (セミナー、イベントの開催等) | 弱み×脅威 (弱みを受け入れ脅威を避ける) 「防衛回避戦略」 ・うどん、そうざい販売店への移行 ・他社への卸 ・高齢者向け給食 ・新分野の検討 (手打ちうどん教室など) ・他で勤務収入等を得る |
さて、クロスSWOT分析まで実施しました。
どの戦略のどの項目を優先して行うべきか、検討するところでありますが。
ここまで分析してきて、思うところは・・・
「丸作製麵は、やるべきことがまだできていない。」
ということです。
・広告宣伝活動による新規顧客確保
・顧客のリピーター化
・顧客の分析とニーズの把握
上記のような、基本的な取り組みができていないように思います。
基本ができていないのに、
「ドライブスルーの実施」
「サブスクの導入」
「うどん自販機の設置」
などというのは、リスクが高すぎると考えます。
ゆえに、クロスSWOT分析における、以下の基本的項目に取り組んでいくことにします。
・安全、健康を大きく打ち出す
・好立地・コスパで遠方客確保
・HP、SNS、アプリの環境整備
・広告宣伝活動の改善強化
・LINE活用等で固定客化
・特長のあるメニューの開発
・コンビニ等との差別化
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