<丸作製麵へのコンサル-3>経費・支出の見える化

(仮想顧客に対するコンサルティングです)


渡辺さんから、「丸作製麺」の業績資料が届きました。

その資料を基に、以下の表を作成しました。

<丸作製麺の平均的な1か月の収支>
  単位(円)  
売上 1,300,000  
原価 ▲ 494,000 38.0%
バイト人件費 ▲ 72,000  
水道光熱費 ▲ 104,000 8.0%
家賃 ▲ 180,000  
その他諸経費 ▲ 200,000  
利益 250,000  
借入返済 ▲ 150,000 ←リスケで0予定
家計費(推測) ▲ 200,000  
最終収支 ▲ 100,000  




ここで、経営改善のポイントとなる項目をまず2つ選ぶとしたら、どれだと思いますか?





私(うめさん)であれば、

「その他諸経費 ▲200,000円」

「家計費(推測)▲200,000円」

をポイントに選びます。




原価(38.0%)、水道光熱費(8.0%)が妥当であるかどうか、これは色々な見方があると思うのですが、明らかな異常値とは言えませんし、まず取りかかるべきはそこではないと思います。

「その他諸経費」とはその名の通り、いろいろな費用です。

うどん屋さんである「丸作製麺」において、「その他諸経費」とは修繕費・消耗品費・雑費・広告宣伝費・接待交際費など、多岐にわたります。

また、個人事業であるため、日々の様々な支出を経費算入することも多いでしょう。

事業の経費と家計費を明確に分けることはなかなか難しいかもしれません。



ここでまず提案したいのが

「事業の経費であるのか、家計費であるのかを問わず、今現在の経費・支出をしっかりと把握(見える化)する。」

ことです。


通常、多くの自営業者の方は「翌年3月の確定申告のために」領収書を整理して、年末が過ぎたら青色申告決算書を(面倒だと思いながら)3月15日までに何とか間に合わせて作成していると思います。

ここが違うのです。


経費・支出の把握は、税務署のために行うものではありません。「自分のために」行うべきものです。

自分の状況を確認し、問題があれば改善していくために行うものです。

ですから、年に数回程度しか領収書の整理をしていないという状態であれば、大きな課題があると言えます。


一般家庭に置き換えてみれば、もっと分かりやすいかもしれません。

一般家庭で、節約意識の高いところは「家計簿」をつけていることが多いです。

家計簿をつけることで、日々の支出を把握し、無駄遣いを改めることで貯蓄を増やしていきます。

「年に数回程度しか家計簿をつけていない」というのであれば、家計簿をつける意味がありません。


「丸作製麵」での最初のヒアリング(経営資源 情報について)において、「売上はノートに記入し日々把握しているが、仕入れや経費は整理ができていない。」との話がありました。

ここは大きな経営改善のポイントですね。

まずは、事業の経費であるのか、家計費であるのかを問わずに経費・支出を把握することが大事です。

「自分のために」行うものであるので、事業経費なのか家計費なのかは二の次であり、後回しで構いません。


さて、では実際にどのように経費・支出管理を行うか?です。

「丸作製麺」では会計ソフトを使用していないとのことです。

一般的には「エクセル」「弥生会計」を使用しているところでしょうか。

(この部分、梅ぼ―は専門分野ではないので分かりません・・・。)


「ここからアプリ」というサイトがあります。(独立行政法人 中小企業基盤整備機構が提供)

トップページ
当サイトは、中小企業・小規模事業者のニーズにあったビジネスアプリの情報を紹介しており、企業が自社の経営課題に対応したアプリケーションを検索して検討いただくほか、支援機関が企業支援のツールとして活用いただくことを目指すサイトです。現在掲載され...

このサイトの「アプリ検索」にて、自社に相応しいアプリ・ソフトを見つけ出すことができます。一定の信頼・実績がないと掲載されないようですので、安心感もあります。

ネット検索なども踏まえると、「丸作製麺」には以下の3つのいずれかが良さそうですね。

・弥生家計オンライン

・クラウド会計ソフトfreee

・マネーフォワード クラウドシリーズ

利用するにあたって年間に数万円の出費があると思いますが、これは必要経費です。ケチるところではありません。



私(梅ぼ―)は、中小企業(個人事業主なども含む)の金融に携わる仕事を20年以上やっておりますが、つくづく思うところがあります。それは・・・

”業績の悪い企業の多くは「見える化」ができていない”

ということです。



逆を言うと、「見える化」ができている企業でありながら、業績が悪いところは少ないということです。

これは、「経営者が有能で、見える化ができているし、良い業績にできる。」ということかもしれませんが、必ずしもそうではないと思います。

「見える化できると、何が問題なのか分かるので、当然に必要な対策をする。すると、自然と良い業績にできる。」というのが真理に近いのではないかと思っています。


無駄な支出が多いと分かって、それを放っておく経営者はいません。

何らかの手を打つはずです。

その手法は色々あると思いますが、バリエーションには限りがあり、ウルトラCはありません。

支出削減の方法は、経営者自身が正解を持っているし、実行できると思うのです。


その「見える化」をお手伝いするのが、経営コンサルタントの一番の役割であると私は考えております。

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